2014年05月

2014年05月30日

雷龍が鳴く鳴く、ブータン

 こんにちは。クズザンポラ―。

日本では気温が上がる日が続いているようですが、みなさま、いかがお過ごしですか?

今朝のパロ谷は、快晴になりました。

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でも、よ~くみてみると、パロの町の中心を流れている川パ・チュ(写真右下)や田んぼの水が濁っているように見えますでしょうか?


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というのも、26日頃からちらついていた小雨が27日には終日の雨となり、28日の夕方にはパロ谷が真っ白に曇り、そして29日の午前中までずっとお天気がぐずついていたのです 

2010年の7月にも豪雨の日があり、この時もずいぶんと大雨となったのですが、ブータンはヒマラヤ東部にありモンスーンの影響を比較的うけやすい位置にあります。

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28日の夕方には、厚い雲に覆われ、パロ谷は真っ白。夕方のデリー/パロ間のドゥック航空のフライトは、パロの空港に離陸ができずにフライトキャンセル、またヒマラヤの向こうへ戻っていってしまいました。ここ数年は空港のシステムや飛行機の機材の改良のおかげもあり、フライトは遅延することがあっても、キャンセル自体になることはずいぶん減ったのですが、やはり有視界飛行方式でしか運航できない条件にあるブータンの国際空港では、天候によってフライトがキャンセルになることも年に数回だけあります。

ブータンに離陸したい観光客の皆さまの気持ちとは裏腹に、ブータンの雷龍が鳴く鳴く、ゴロゴロ雷がとまらない一日でした。

昨日のNHK・BSプレミアム「世界で一番美しい瞬間(とき) 満月の夜 祈りのとき ブータン・パロ」が放映されましたが、この日は満月翌日の日だったので、番組内容と合わせて粋な放送日だな~などと思っていたのですが、パロはあいにくの雨模様でした。

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でも、本日はとても快晴。
雷龍が鳴いてもたらしたのは雨だけではなく、遠くの山々を雪化粧で染めていきました。


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これから田植えが始まるパロ谷では、雨が降ることも大事。でも、やっぱり、晴れると気持ちがいいですね。

これは私の個人的な意見ですが、これからの6、7、8月のブータンはとっても美しい季節で、私はとてもおススメだと思います。ガイドブックなどでは、雨季のモンスーンと説明されることが多いため、この季節を避ける傾向がありますが、そんなことはない!と声を大きくして言いたい~~

雨は降りますが、日本の梅雨の時期よりも降らないですし、朝や晩に降ることが多いです。日中に降ることがあっても、短時間で止むことが多いですし、雨があがった後の谷の雰囲気もとっても素敵です。モンスーンによって、緑が生き生きとして生命エネルギーが溢れる季節、観光客も少なくてゆっくりできる季節です。

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さて、ブータンは、The Land of the Thunder Dragon、雷龍の国と呼ばれ、龍がシンボルマークとして使われています。雷龍は、どこに帰って行ったのかな?こっちの峠チェレ・ラの方角かな?

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そんなことを思いながら、日暮れまで刻々と変化をする空模様を眺めていた一日でした。


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:雨の日の通勤、まぢ大変っす。滑るよ~濡れるよ~でも水たまりに飛び込みたい♪♪

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2014年05月28日

ブータンで一番美しいとき

 こんにちは。クズザンポラ―。

明日、5月29日木曜日、日本時間の午後9時からNHK・BSプレミアム「世界で一番美しい瞬間(とき)満月の夜 祈りのとき ブータン・パロ」が放映されます。

今年の4月11日~4月15日までの間に開催された、パロ・ツェチュ祭を中心に撮影された番組です。

私も番組をまだ見ていませんので詳しくは知ることができないのですが、現地での撮影の様子を拝見した限り、と~っても素敵な番組になっているのだろうなぁ、と想いを馳せています。今回は、この番組とは関係が無いのですが、私が感じた「ブータン、パロ・ツェチュ祭の一番美しい瞬間」を勝手ながらに綴ってみたいと思います。

2014年のトンドルご開帳の様子についてのブログはこちら

このブログでもパロ・ツェチュ祭をご紹介していますが、「ツェチュ」とは月の十日を表し、8世紀ころ、ブータンに仏教を伝えたとされるグル・リンポチェ(パドマサンバヴァ)が、この地に戻ってくる日であり、満月にあたります。ブータンではグル・リンポチェは、第二のお釈迦様のような存在です。

パロ・ツェチュ祭の最終日には、このグル・リンポチェの大掛軸(トンドル)が深夜2時過ぎから、夜明けにかけてご開帳されます。

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深夜過ぎから会場には人々が押し寄せます。パロ・ゾンの頭上を通過する満月の光のもと、トンドルを待ちわびる人々の様子は、こんなにも多くの人がいるのに静謐で厳かで、でも内なる熱気と興奮を感じる、とても不思議な感覚に包まれます。

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私は敬虔な仏教徒でも、また他の宗教を信仰しているわけではなく、おそらく現在の日本人の大多数の方と同じような宗教観です。でも、なぜ故に、こんなにブータンの人々の姿に心を打たれるのでしょうか。

それはきっと、彼らの祈る力に圧倒されているのです。

彼らは自分自身の幸せのためだけに祈っているのではなく、他人に対して、またこの世の生あるもの森羅万象全てのものに対しての想いであり、それが最終的には巡り巡って自分の幸せとなることを知っています。彼らの持つ揺るぎない確信と、その一心不乱の姿に圧倒されてしまうのです。

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そして、その願いはこの一枚の大きなトンドルに集約され、このグル・リンポチェの姿を見ると、何とも言えない圧倒的な感動と清々しさを受けるのだと思います。

2011年の春は、東日本大震災後の3月19日がご開帳の日でした。あの時、自分の慣れ親しんだ故郷が変わっていく姿、多くの人々の悲しみや苦しさ、辛さ、やるせなさを、私自身がどう受け止めていいのかわからなくなりました。その時に、トンドルを目にして、満月の光がひとすじ心に射しました。ブータンの国王陛下も、まわりのブータン人も、すぐに思いやりの言葉をかけていただいたことも、一生忘れません。

月と心に光が射したその瞬間、ブータンの人々が一心不乱に祈る姿が、私が感じるブータンで一番美しいとき。

祈る姿は、とても美しい。
容姿や年齢などのを超えて、思いやりが自然に溢れた、その人の心そのものの姿にふれる瞬間です。

ブータンの人は、なぜ、祈るのでしょうか。

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最終的には幸せのためなのでしょうが、そこには個人の枠は超え、無心に近い気持ちでいるのではないかと私は思っています。そして、宗教としての信仰だけでなく、人間の力ではどうすることもできない自然に対しての畏怖に対し、祈ることで立ち向かっているようにも感じます。チベットやインドはもともと過酷な自然環境であり、更に、いつもは穏やかで美しい自然も、時に圧倒的な力を持つ姿に変わります。

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そんなことを思いながら、いくつかの本を手にとってみました。

人生の目的は、幸せになることです。

他人を思いやって行動するとき、私達の行動はおのずとよい方向へ向かいます。なぜなら、心が愛で満たされているときには、疑惑の入り込む余地がないからです。

「抱くことば」より

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ほんとうの意味の思いやりは、まず自分自身に向けられるべきだと思います。まず自分自身に思いやりを持ち、それを周りの多くの人達に広げていくのです。つまり自分自身を忌み嫌い、嫌悪しているような人は、他人を思いやることなど不可能なことだからです。

ゆるしの気持ちを身につければ、その記憶にまつわる負の感情だけを心から手放すことができるのです。ゆるしとは、「相手を無罪放免にする手段」ではなく、「自分を自由にする手段」です。

「ゆるす言葉」より

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高度に発展した国々に住む人々は、今こそ生活様式を見直すべきです。これは倫理や道徳とはあまり関係がありません。発展途上国に生きる人間もまた、生活基準を向上させる同等の権利を持っています。

富んだ人間だけに与えられた、不必要に豊かな生活を保障すること以上に大事な課題が、世の中にはあるということです。

自然界に取り返しのつかないダメージを与えることなくこの課題に取り組むことで、富める国は他へのよい手本とならねばなりません。さもなければ、いつの日か向上し続ける生活基準の代償を手痛く支払うことになるでしょう。

~~もはや互いを引き離す国家的、人道的、イデオロギー的垣根を持ち出す時代ではありません。それよりも、グローバルな視点に立って、困難解決に協力しあうべきなのです。

「夜明けの言葉」より

これらは、現ダライラマ法王のお言葉です。

ブータンの人々の祈りの先にも、同じものが見えました。祈ることしかできない、のではなくて、祈ることからすべてが始まっているのですね。


さて、みなさんは明日の放送をご覧になることができますか?同タイミングでは、見ることができない私の是非ご感想をお聞かせ下さい~。


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2014年05月26日

朝の通学路では

 こんにちは。クズザンポラ―。

今日も、古都プナカの様子をお伝えします。

冷涼な気候のパロに暮らす私にとっては、標高が低いプナカを訪れる度に、なぜだかいつも自分が小学生だった頃の夏休みのような雰囲気に包まれます。

この気持ちは、「プナカの朝と日本の夏休み」や「プナカの夕暮れと帰り道」というタイトルでご紹介しているのですが、なんともノスタルジックな気持ちが懐古されます。プナカの湿度、空気、匂い、緑の濃さ、そして村人の暮らしの姿からよりこんな気持が沸き起こるのでしょうか。

そして、この気分は私を早起きにさせ、まるで夏休みのように「早く遊びに行かなくちゃ」と思わせ、今回も朝、お散歩に出かけました。

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ブータンの学校は朝8時には登校をして、学校周辺のお掃除などをして、朝礼をして、9時頃から一時間目の授業が始まります。子供達の家の場所にもよりますが、朝6時半~7時半過ぎまでは、地方の学校では通学路を歩く子供達の姿に出会います。

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同じ集落に暮らす子供達が、集団登校をしていました。ブータンでは、お昼ご飯を食べる時や集団登校の時に、女の子と男の子のそれぞれのグループに分かれていることが多いですね。

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高学年のお姉さん達が、低学年の子に途中で自分の水を分けてあげたり、おしゃべりをしたり、道中の草で笛をつくったりしながら、歩いて行きます。

最初に私が一緒に歩き始めた時、私が彼女たちを追い越していけるように一斉に立ち止り、一礼をしてくれました。お姉さん達が小さな子に向かって『「グッドモーニング、マダム」って言うんだよ』と教えていました

そう、ブータンでは年上の方を尊敬をし、子供達は一礼をし、挨拶もします(詳しくはこちら)。何年経っても、そしてこれからも、マダムって呼ばれることになれないだろうなぁと思いながら、私も挨拶をします。

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この学校は丘の上にあるので、ほとんどの子供達が朝は登り道。子供達は、ブータンの民族衣装が制服となり、女の子は下半身が巻きスカート状になったハーフ・キラではなく、着物のように肩から着るフル・キラのため、プナカの気候で特にこれからのシーズンはとても暑く、みんな汗をかきかき、休憩しながら歩きます。

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夏用と冬用の制服が2つあったら、いいのになぁ。でも、一概にそれが良いとも言えないのだろうなぁ。

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毎朝の通学を見送る、学校近くの村人たち。


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おっとっと、バランスを取りながら歩いている男の子が片手に持っていたのは、マンゴージュースと竹の棒をお椀に一緒に入れて凍らせたアイス。学校の前にある売店で、おやつを買っていました。朝から暑いもんね~。日本の学校だったら、登校前にこれがみつかったら怒られるのかな??

ブータンでは、パックジュースをそのまま凍らせたものも、夏の人気のおやつです。

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学校前のチョルテン(仏塔)では、一休みする姿がありました。ここでは、村人のお母さんが子供達に桃を売っていました。ブータンの子供達は、桃の皮をむかずにそのまま食べるので、一生懸命手でこすって桃のひげをとってから、齧っています。

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左側の女の子が持っているのは、ナイフときゅうり。やっぱり、プナカのおやつはきゅうりが定番なのです!!

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ブータンでは観光客の方が学校訪問をするには、特別な許可証が必要で、国の政策や学校の授業を不特定多数の人に見学をさせるのは難しいと思います。でも、通学路では子供達に出会うことができますので、もし機会があったら挨拶をしてみて下さいね。

きっと、グッドモーニング!サー または マダム!と呼びかけてくれます。

朝から子供達から照れながらも元気をもらった、一日でした。

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:あれ、また置いて行かれた???
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2014年05月24日

プナカゾン 初夏の見どころ 3

 こんにちは。クズザンポラ―。

5月に古都プナカへ訪れる楽しみと言えば、、、

ブータン屈指の美しい景観であるプナカ・ゾン(城)の敷地内に紫の美しいジャカランダの花が咲き、ゾンとジャカランダの見事なコンビネーションを見ることができます

これは、5月22日に撮影をした写真です↓↓。

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以前に訪れた時は、4月下旬には既に咲き始めていたと思うので、5月下旬になると「もう遅いかな~散ってしまったかな~~」と思いながら訪れたのですが、

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満開のピークは過ぎてしまいましたが、それでもまだまだ美しい風景でした。ブータンで暮らしていると、春になれば日本の桜の季節が思い出され、春になると毎年懐かしくなりますが、ブータンではこのジャカランダを毎年見ることで、個人的には日本の桜が咲く時と同じような風情を味わっています。

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ブータンのゾン(城)で花の季節が楽しめる場所として有名なのは、首都ティンプーにあるタシチョ・ゾンと桃の花例年2~3月頃)、このモ・チュ(川)とポ・チュ(川)の中州となる川の合流点に建てられたプナカ・ゾンと紫のジャカランダのコンビネーションもどちらも甲乙つけがたいほど素敵で、季節により更に訪問の楽しみを増してくれます。

こちらの写真は、昨年、5月の第一週にプナカ・ゾンへ訪れた時のもの。

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開花時期は、その年の気候により変わりますが、ジャカランダは約1カ月間は咲き続けてくれますので、桜に比べれば、その姿を見るチャンスは高いですよね。以前のこのブログを振り返ってみたら、6月初旬でもお花を見た年もありました。

毎年、見る度に「合成写真じゃないよね?」と思ってしまうほど、鮮やかな紫色のジャカランダ。

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プナカやウォンディポダンの町は標高1,200m程度と、パロやティンプー谷の約2,400mと比べると標高が低く、5月でも日中は気温が30度近くまで上がります。軽井沢駅の標高は1,000m未満ですが、日本では冷涼な気候の場所になりますが、ブータンは日本に比べて緯度が低い分、太陽光線の量が増え日差しが強いため、亜熱帯気候に区分されます。

だから、プナカではこんなサボテンの花も咲いているのですよ~~サボテンには強い日差しが似会いますね。

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夏のプナカで大人気人気なのは、なんといっても、生のキュウリを丸かじり 以前、私も何度となく、プナカの村人からきゅうりをいただきました(こちら)。水分補給としても、カリウムやビタミンCを含んだきゅうりはおやつに最適ですね。

また、今年もプナカにパロよりも少し早い夏がやってきます。

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:早く泳ぎに行きたいな~~
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2014年05月23日

知られざる名刹~2014年祭・後編~

 こんにちは。クズザンポラ―。

今回も前回に引き続き、パロ谷深くにあるお寺で先日開かれたツェチュ祭の様子の続きです。

さて、早朝からの読経が終わり、午前9時前になると、お寺の中庭で仮面舞踊が始まります。今までも、お祭りの仮面舞踊の様子は幾度もご紹介してきましたので、今回は小さなお寺ならではの舞台裏の模様をお坊さんにお願いして見学させてもらいました。

いつもは学習している勉強部屋も、この日は衣装替えや打ち合わせに使う舞台部屋となり、スタンバイです。

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以前使っていた宿舎は、2011年9月の地震後に作り直しました。絨毯も敷かれて立派になりましたね。こちらは、地震前の宿舎↓です。

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こうやって、小坊主さんはお兄さんのお坊さん達と一緒に暮らし、見て習うことによって様々なことを経験して、肌の感覚としても学んでいくのですね。

さて、仮面舞踊ですが、このような小さなお寺の場合は、一人の僧が何種類もの踊りをこなさなくてはいけません。また、踊りの種類により衣装や装身具は異なり様々な装飾もあるため、ひとつひとつの装身具や、仲間との動きの打ち合わせを事前に確認しておきます。

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こちらは、金襴緞子の前掛けの衣装が特徴の黒帽の舞・シャナの帽子を合わせている様子。

基本的には、同じお坊さんが続けて踊らない構成になっていますが、一つの演目が最低でも30分、長い時で1時間以上も続くこともあり、ボリュームある衣装、重い木の仮面は紐で縛りつけながら、激しい運動量となる踊りをこなすことは、天候によっては脳震盪をおこしてもおかしくないような過酷な状況になります。

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この踊りは、「墓場の主」チティパティの頭蓋骨の仮面を被ります。この踊りは、つま先を開いて上体をそらす動きが特徴的なのですが、まさにその姿は私から見ると荒川静香さんのイナバウアー。

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そんなことを説明してみても、当然彼らにわかるはずがなく、「なんのこと??」とお返事そりゃそうです。でも、そんな仕草をみて、このチティパティの踊りには、こんな爪がついた手袋をはめて踊っていたんだな!と気付きました。この踊りは、男女の頭蓋骨の仮面を被ったカップルとして踊られるのですが、どこで男女を区別しているのかは衣装では判別ができませんでした。どこが違うのかなぁ~

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こちらの方は、このお坊さん達を指導されている村にいる踊りのマスター。実は、この方は、道化師アツァラとして司会進行を司り、僧の脇で共におどけながら踊ったり、悪ふざけをして観客を盛り上げます。

おどけて踊っているように見せていますが、実は仮面により視界が狭まりバランスが取りにくくなっている踊り手の僧の動線を導くために近づいたり、緩くなってしまった衣装を直したり、観客に注意を促したりと大変重要な役で、ベテランの方がつくことの多い役です。

そのため、舞台裏でも鋭い視線が光っています 

こういうベテランさんが若い少年僧に指導している姿をみると、なんとなく安心感というか、頼もしさを感じます。お寺の座主は、別席で全ての踊りや運営をチェックするため、舞台裏にはこういった方の存在も必要になります。

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これから出番の踊りがやってくるお坊さん達。今年初めて、この役をもらった初々しい少年僧もいました。

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このお祭りに来ているのは周辺の村人だけだと思っていたら、インド国境のプンツォリンから来ている方に出会いました。「この村の出身だったの?」と聞いてみましたが、彼の答えは意外なものでした。

ケツィの占いで僕のお寺はここだって言われたんだ。だから毎年、必ず一回はお参りに来なければいけない。だから、毎年祭りの時に来るようにしているんだ

お~~~このケツィとは、ブータンで人生を占う・その5 でご紹介をした占いです。

ブータンでは赤ちゃんが誕生した際に、家族がその子がどんな星の元に生まれたかを占ってもらい、その子供の性格の特徴や、生涯の流れ、何歳の時にどんな災いが起きやすい等のアドバイスをもらうものです。この方は、誕生時にこのお寺が菩提寺と言われ、40年間以上も変わらず、毎年参拝にやってくるそうです。

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そして、スタンバイをしていた先程の彼らの登場。

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高く跳びはねる、瞬発力が必要な舞ですが、堂々と踊っていました。

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以前にも書きましたが、今回、再び思いました。ブータンのGNH(国民総幸福量)の柱のひとつには、自然環境の保護と並び、有形・無形の文化財の保護を重視しています。仮面舞踊はまさに無形文化財の代表、その重鎮のひとつと言えるもの。これからも、ブータンの村人に、お坊さんに、そして世界の人々にも紹介され、この高い技術のまま伝えて欲しいと願います。

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一人一人の成長が、ブータンの未来を支えていくことを実感する、そんなお祭りでした。

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