プジャ
2016年03月07日
毎年恒例のプジャ、わんこも参加?
こんにちは。クズザンポラー。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今週は、いろいろ盛りだくさんでなかなかブログが更新できておりませんが、日本から届いた桜の苗木をブータンに植えたり、国内で開催されたマラソン大会などに参加したりしていました。その様子も後のち更新できればいいな~と思っています。
さて、先月29日は毎年恒例の私の職場のプジャ(法要)が行われました。ブータンの生活のなかでは毎年欠かすことが出来ない、厄落としのようなものですね。職場では毎年12月ころに行っていたのですが今回はお坊さん達の都合がなかなかつかずに2月末にすることになりました。
毎年、パロ・ゾンからお坊さん達が来てくださるのですが、法要の前日から準備が始まります。祭壇の準備や、仏画の掛軸(タンカ)や仏像を持ってきてくださり、
そして、トルマと呼ばれるバターで作るお供え物を作っていきます。英語ではバターケーキと表現されるトルマですが、その名のとおり、バターや砂糖と着色料を使って、お湯で温めて柔らかくしながら形成していきます。以前、フォブジカ谷の民家でトルマを作っている様子をご紹介しましたので、興味のある方はこちらへ。
いつもはプロジェクターとスクリーンを使って会議をする部屋も、お坊さん達がいらして準備をしているだけでまったくの異空間に変わります。ブータンでは、お坊さんが各家庭に出向いて法要をする機会が多く、人々の暮らしと仏教、お坊さんが一体となって結びついていることがよくわかります。
数時間後には、ばっちり用意ができていました。いつ見てもすごい!そして、翌朝、早朝から祈祷が始まりました。いつものようにフレディ君も一緒に出社しますが、
ボッボーボーボッッボー、ジャーン、ジャーン と法要のために鳴り響くチベタン・ホルンやシンバルの音にも動じないフレディおじいさん。すっかり、ブータンのわんこですね。
この音を聞きながら思い出したことがありまして、、、
先日、定期健診で動物病院を訪れたときに、獣医のテンジン先生は、フレディ君は老犬だからそれなりに悪い部分は出てくるけれど、無理をしないで様子を見ていきましょうと言い、私は愛情以外に「何か老犬にとっていいことはありますか?」と聞いたところ、
「う~ん、プジャが良いと思うよ」 とのお答え。
プジャとは、仏教の法要の儀式のことで、やっぱりブータンでは長生きのためには犬にも人間と同じようにお坊さんにお経をあげてもらったりすればいいと考えるのか~医療科学の世界に生きるテンジン先生からのアドバイスなら、きっと効果があるね!
という会話がありました(※)
今回のプジャは、お寺ではなく各家庭や職場で毎年行われるいわゆる厄落としのようなもので、なんというか、お寺よりも気軽にお坊さんに話したり、相談できる雰囲気があります。
こ、これは、もしや・・・フレディ君も参列できるのか!?テンジン先生おすすめのプジャで、長寿が叶う!?
なんて思っていたら、すでに入り口近くでスタンバイしている模様。
まずは私がお祈りをするために、祭壇に向かって私が五体投地で参拝していると、
すでにお坊さんの脇にスタンバイ・・・あわてて退出しようとさせるも、「そのままでいいよ」とジェスチャーで答えてくれるお坊さんたち。
まぁ~~
その後、「だってこの子も犬だけど、大事なメンバーでしょ」とお昼休みに話してくれたお坊さん。命あるものに優しい、ブータンの人々です。
そして法要もクライマックスになると、火を使った厄落とし、ネダシダが始まります。この迫力あるお清めは
こんな感じになるんですよ~~(※※) 植物の粉を松明に向かって投げていれて、一時的にボッっと火力を増します。多分、杉の木から取れるのかな??毎年、かなりダイナミックに浄化してくれますが(詳しくはこちら)、今年もダウンジャケットに穴があいてしまう(笑)
今年は、なぜか多めに清められた気がする・・・・お坊さんに狙われているのか!?と思うほどでしたが、強力なお清めです この火炎によるお清めは、家や職場の敷地内の各エリアに移動して、炎をあげ、石を投げていくのですが、念のため消化チームも一緒についていきます。
ほらほら、
フレディもそんなところでのんびりしていると、
しっかり尻尾の部分をぼぼーっとお清めされていました 良かったチリチリにならなくて でもフレディ、炎がきたらちょっとくらい恐がったり反応しないと、犬としていかがなものかと・・・
これで、獣医のテンジン先生の健診+特別なお清めでもっと長生きできるね。
ブータンでこういった恒例のプジャをすることは、日本人の私にとっては年末の大掃除をしたり、お墓参りをしたりするような、恒例の行事でやらないとすっきりしないもの、のような感覚になります。もっと深い意味はたくさんあるのですが、それほど日常に密接に関わっているものなのですね。
パロ・ゾンのおぼうさん、フレディ君にもいつも優しく、長生きを願ってくれてありがとうございます!
2016年02月04日
一年の終わりの前に、ロチェをする
こんにちは。クズザンポラー。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
ここ数日のパロ谷は、この時期には珍しく曇りの日が続いていて、遠くの山々では雪が降っています。冬の時期に3日でも透き通る快晴を見ないのは、なんとなく寂しくなるので、
(先月の初雪の後のパロ谷)
青空の風景の写真を登場させてみました。
そして、おととい「ロチェ」と呼ばれる行事にお邪魔をしてきましたので、その様子をご紹介します。
ロチェのロは年、チェは法要(プジャ)のことを表し、毎年一年に一度、各家庭で行われる恒例の法要で、お正月を迎える前に行います。お坊さんを自宅に招いての法要にはいろいろな用途がありますが、このロチェは毎年のお祓いのようなもの。
私の大雑把なイメージとしては、日本ではお正月の新年を迎える前に大掃除をするのがセットであるように、このロチェは年始前にお清めのように必ず行うブータンの習慣なんだろうな?と思っています。
今年は2月9日と10日が国全土としてのロサール(お正月)になるので、この時期はロチェを行う家庭が多い時期です。
しかし、ブータンのはお正月は地域ごとにお正月とされる日があり、時期を新暦で考えてみると、
毎年12月中ごろ・・・西ブータンのハ県とパロ県では新年「ロンバ」を祝う。
毎年1月上旬ごろ・・・西ブータンのウォンディポダン県とプナカ県では新年「ニロ」を祝う(今年は1月2日)
毎年1月上旬ごろ・・・東ブータンではチュニパ・ロサール(今年は1月11日)を祝う。
現在では、東・西ブータンだけでなく中央ブータンや北部や南部も地域別に分かれていますが、昔は西と東ブータンの2つにしか分けていませんでした。
なぜ、このように時期にズレがあるかと言うと、それは「穀物の収穫を終えた後をお正月としていた」習慣があるからのようです。ブータンは九州と同じ程度の面積ですが、人が暮らす地域内での標高は4,000m近くも差が有ります。気候や植生も大きく違うため、育てている穀物の種類や収穫時期が各地でずれるため、お正月も異なっていったのでしょう。
パロ県のメインとなるお正月「新年のロンバは『毎年ブータン暦の11月1日』であり、新暦では毎年12月中旬頃」になります。
んんんん???
ということは、パロ谷はロンバのお正月が過ぎて既に2ヶ月。今回、私はパロ谷のカンクー地区でのロチェに招待してもらったのですが、パロの新年ロンバは終わっている。。。ロチェは「一年の終わりの前に行う」ものだよね???とこんがらがったのですが、この地区では毎年このタイミングでロチェを行う家庭が多いそうで、パロの谷といえど、また違った習慣があるそうです。
ああ!ブータンのカレンダーや習慣って難しい(笑)
難しい話はおいておいて、この日にいただいたものが美味しかったので、ロチェの食べ物をご紹介します!まずは、ブータンの民家訪問の流れとして、居間でお茶とお菓子をいただきました。
このロチェの日は、お茶請けのお菓子もとても豪華。
写真の左上から右に向かって、トウモロコシをひしゃげたゲザシップ、市販のビスケット、お米を炒ったザウ。
2列目左から右に向かって、収穫前若いお米を使ったシップ、バターと砂糖が入ったザウ、ポップコーン。
そして、今回はじめていただいたのが、
「ザプチ」。この粉の味はお米を炒ったお菓子ザウのような味でした。ザウ自体の作り方は
ゆっくりと水に浸したお米を、フライパンのようなお鍋に入れて炒って作るのですが、
日本人の私には醤油なしのおせんべいやあられを食べているような、懐かしいシンプルな味のお米のお菓子。表現が下手ですが、う~ん、なんと言うか、お茶漬けの元に入っている「あられ」みたいな感じです。シンプルな味だから、ブータン人はバターやお砂糖を混ぜることもあるのでしょうね。
粉状になっているザプチは、ザウと同じようにお米を使ってそれを炒り粉上にしたものなので味自体はほとんど一緒ですが、バター茶と一緒に混ぜて食べます。
今回は特別にバター茶ではなくミルクティー(ンガチャ)を注いでもらいました 混ぜ混ぜして練るようにしてお団子状になっていくのですが、この食べ方はチベット本土で食べているツァンパ(炒った裸麦の粉末をバター茶と一緒に指で練って食べる)のと同じですね。
やっぱり、「ブータンは昔からチベット文化圏を脈々と宗教だけでなく食文化も継いでいるのだな~」と納得した新発見でした。ただ、使う食材が裸麦ではなくお米で作るのが、標高がチベットよりも低く稲作が可能であるブータンの特徴です。
このザプチはなかなか癖になる味で、私はシリアルよりも朝食にこのザプチ団子を食べるほうが好きかも~。
そして、おもてなしとして、次にサフランライスの”デスィ”(*)が登場しました(写真右)。お茶とスナックの後は食事が続くのですが、たくさんありすぎて紹介しきれないので、
今回は、牛肉(シャカム)と卵(ゴンド)のゴンド・シャカム。これはお祝いのときに食べたり、お乳が良く出るようにと出産後のお母さんのための料理。
その後は、もうたくさんの地元に伝わる伝説のお話を教えてもらって、あ~ここも行かなきゃ、あそこも行かなきゃ、へ~そうなの~というお話を4時間に渡って聞くことが出来ました。
6年も暮らしているのに知らなかったお話がいっぱいで、外に出て、様々な世代を超えてお話を聞いたり、何かを新しく知ることは素晴らしいことだと、改めて感じた一日でした。
そして、もうすぐ新年がやってきますが、この日はもっとたくさんの種類の食べ物がふるまわれるため、楽しみであり、体重が増加しないかが心配ですね(笑)
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2014年12月14日
ブータンで年末の大掃除
いつもブログに訪問していただきありがとうございます。年末も近づき、いつもより忙しい休日を過ごされている方もいらっしゃると思いますが、いかがお過ごしですか?
ブータンの各家庭では、伝統的なブータン建築の家屋や近代的なアパートであろうとも関わらず、大きさは違えども仏間があり、そこにお坊さんを招いて法要(プジャ)をします。年に1度の定期的な法要はどの家庭でも行っており、小さい規模を合わせれば年に平均3~5回の法要があります。
私の職場でも、毎年恒例の法要を行いました。
いつもは、会議室である部屋も、この数日間の間は仏間に変わります。
パロ・ゾンからお坊さんを招いて、早朝から晩まで続きました。この法要は、職場安全とか、厄落としの意味合いが強いのですが、そのほかにも、社運隆盛、開運招福、無病息災などもあるのでしょうし、ここはブータンなので「みんなが幸せに暮らせるように」という気持ちが強いので、自分達のためにというよりは職場にいるスタッフの家族や親戚、友人のために、などと広がっていくと、全てに繋がっていくような気がします。
さて、職場では毎年ちょっと珍しい、炎で浄化を促す、火を用いた厄除けネダ・シダもお坊さんに行ってもらっています。
仮面を纏ったお坊さんが松明を持って踊り、人々の前に行くとその松明の火を近づけて、火の粉をあげるように火力をあげます。
突然、ぼわー!っと火の粉が散るのですが(アシスタント役の人が念のため消火のために待機)、
このような植物の粉を松明に向かって投げていました。多分、杉の木から取れるのかな??昨年も、かなりダイナミックに浄化してもらいましたが(詳しくはこちら)、今年もナイロン製のズボンに小さな穴が複数あくほど清めていただきました
そして、自分の部屋を少しずつ年末の大掃除をしていると、
今年一年でいただいたスンキがありました。ブータンのお守り・スンキは、お坊さんが祈りを込めて作った紐状のもので首かけるのですが、紐の結び目の部分には仏様のパワー、お坊さんの念が宿っています。ブレッシング・祝福をうけた紐でお守りになります。
お寺などでいただいたり、購入したり、またどこかのお寺に参拝に行った人が、家族や友人にお土産として持って帰ってきます。ブータンで暮らしていると、購入せずとも一年間でこれくらい溜まります。
高僧からいただくという特別なケースを除き、ブータンの人は最低3日間首にかけておいて、その後はご利益があったものとして考えるため、はずすことが多く、または自然にほどけることもあります。そして、スンキをゴミ箱に捨てるのは汚れるし失礼になるため燃やすそうなのですが、、、、私はその都度燃やさなかったので、溜まってしまいました。。。
でも今回、思い切って燃やしました。火事にならないように気をつけながら、「守っていただいてありがとうございました」とお礼の気持ちと共に煙は昇っていきました。
ブータンの人から言わせると、地面に直接置くのは良くない、きれいな場所に保管しておかなければいけないなど、いろいろな条件があって、どうすればいいのだ?と試行錯誤しながらも、ブータン風に松ぼっくりの松脂を使って燃えるようにしたり、地面に直接置かないように松の針葉を利用したり、なんとなく清浄な空気を感じる早朝に火をつけてみました。
日本でもお守りやお札は神社やお寺に返納するのに、なかなか機会を逃してしまいがちですよね。埃にまみれてしまう前に、感謝の気持ちと共に粗末にならないように納めなおしてみてはいかがでしょうか。
私は、今回スンキにこめられた念にお礼を言えた気がして、とてもすっきりしました。みなさんも、年末年始のお掃除の際に、お札やお守りが出てきたら、気に留めてみてください。
2014年10月03日
ブータンの開店祝いとは
先日、ブータンの友人が新たに起業をしてオフィスを作ったとのことで、お祝いに行ってきました。
さて、ブータンでは引越しでも起業でも新装開店でも、何をするにも大事なのは、占いに基づき良い日を選んで始めることと、その際にお坊さんに法要(プジャ)をしてもらうことです。
良い日を選ぶこだわりについては、近年では携帯電話のアプリもありますので、ご興味のある方はこちらの「ブータンの占いZAKAR」もご覧ください。
起業を開始するにあたり、法要をする際には、オフィスとあわせて自宅も一緒にお坊さんにお越しいただくことはよくあります。早朝から準備が始まり、夕方頃まで続きますので、一日がかりの法要です。
昔から、ブータンの家庭では仏間があり仏壇を祀ります。一軒家の家庭では、仏間は八畳またはそれ以上の広さがあるお宅が多く、とても立派なものです。
お坊さんが、お供え物や五体投地の祈りなどの手順を教えてくださるので、その指示に従います。
起業が目的の場合は、どちらかというと「お清め」や「御祓い」の内容を含むしきたりが多いようで、家族みんなで参加します。
こちらは、竹かごに入れた籾つきのお米や乾燥させたとうもろこしなどの穀物を、バターとお砂糖でつくったトルマに向かって、お坊さんの掛け声に合わせて投げるというものでした。このときに「このバターで作ったトルマは悪いものの象徴だから、自分の中にある払いのけたいものをイメージして投げなさい」と説明されました。
邪悪なもの、ネガティブなものを心にイメージして、ぽいっと
リズミカルに投げ続けた結果がこちらの床、散らばった穀物です。
それにしても、太鼓の音色や、忿怒尊の仮面や読経の声など、子供だったら怖がるようなものも、ブータンの子供達はちっとも怖がらないのが不思議です。小さな頃から普段の生活で接することが多く、慣れているのですね。
昨年、友人のお母様が厄年を迎えることにともない「ブータンでの厄落とし」を経験させてもらったのですが、実際に行われた法要は違いがあれども、このように穀物を投げることもあったので、共通している部分も多いですね。
以前にも、オフィス開店の法要に呼んでいただいたことがあるのですが、いつも私が面白いなぁと思うのは、人だけではなく、オフィスに使う通信機器などにもお坊さんから祝福のブレッシングをしてもらうことです。
オフィスのスタッフだけでなく、パソコンにだってこうやって、
祝福の白い布・カダルをかけてもらうんですよ~
法要には、ウコンを入れた水や、甘い蜜の水を少量振りかけるという工程も仏間ではあるのですが、「もしかして、機器に水を振りかけたりしないよね、、、壊れる~~」と心の中でつぶやいてみたり さすがに、オフィスではそれはありませんでした!
さて、こちらが新しくオープンをしたオフィス。
よ~く見てみると、机の前にはグル・リンポチェのタンカ(掛軸)と、机の上にはマックブック。私だったら絶対に落ち着かない、と心の中の声はしまっておきます。
ブータンの伝統的な木で作られたチェスとの上に置かれたファックス。新旧時代のコンビネーション。ブータンでは、インターネットの接続が不安定だったり、地方ではネットが使われていないこともあるので、ファックスはビジネスにとって大切な機器です。
オーナーさんは、「これから王様とお妃様の写真を額に入れて壁に飾るんだ~」と言っていました。
これだけ法要もしたから、きっと通信機器は壊れずビジネスも上手くいくはずです。がんばってね。
2014年07月22日
バターランプに想いをのせて・2
みなさんのお住まいの地域では、お盆は7月、8月のどちらの日付で行われるでしょうか?
ブータンでは、お盆のような毎年定例時期の習慣や、お墓をつくる習慣はありません。故人に対しての法要は亡くなった日から4、7、14、21、49日後に行い、49日後以降は1年後に再度法要を行います(詳しくはこちら)。その後は、日本のような定期的な周忌供養は行っていないようです。
本日は私の家族の祥月命日にあたるため、何か供養ができないかと相談をしたところ、「お寺に行ってバターランプを108つ灯すことがいいと思う」と教えてもらったので、さっそく出かけてきました。
以前、阪神大震災にちなんで「バターランプに想いをのせて」という記事を書きましたが、ブータンやチベット仏教圏では、灯明を灯すことに鎮魂や平和への願いがこめられています。東日本大震災発生のすぐ後にも、ブータン国王陛下、ブータンの大僧正、首相なども揃って日本の人々のためにバターランプを灯してくださいました(こちら)。
パロ谷では、ブータンで最古のお寺のひとつである古刹キチュ・ラカンやブータン屈指の聖地・タクツァン僧院でバターランプを納めるのが有名ですが、悩んだ末に近所のお寺に頼みました。
近所のお寺も歴史があって立派であり、このお寺は村人と1名のお坊さんによって管理されているのですが、村人がとても大事に扱っていることが堂内に入った瞬間にわかる、美しいお寺です。有名なお寺は、ご利益もたくさんありそうですが、見慣れていて、側に寄り添っていてくれるような感覚がある近所のお寺もゆっくり頼めていいかなと思ったのが理由です。
中庭を見ただけで、和みませんか??
村人以外は、このお寺の名前を知る人も少ない場所で、民家に囲まれた立地ですが毎年12月前後のロンバの季節になると、このお寺でもお祭りがあります。こちら↑が、2012年の12月の様子(こちら)。
さて、バターランプの法要の準備です。前日にまずは、町の商店に行って、バターランプに使うバターと、お線香を購入します。ランプのサイズにもよりますが108つのバターランプを灯すのに、1斗缶サイズ×2.5缶分のバターを購入しました。
バターをお寺へ持っていくと、お坊さんが蜀台となる器にバターを入れ、コットンの芯を立てて、ひとつずつバターランプを作ってくれます。
お寺によってはバターを自分で持っていくのではなく、すでに↑↑このように用意されたバターランプの数だけお金を渡す場所もあります。
ここのお寺を管理されているのはこのお坊さん1名なので、お一人でバターをとかして詰めて芯を立て、準備してくださったのは大変だっただろうなぁと思って伺ってみましたが、いつものことなので短時間で準備できるとおしゃっていました。
私の友人達にもバターランプを一緒に灯してもらいました。
彼女達が口元を左手で隠しているのは、ブータンの作法で、ろうそくやお線香、仏像や尊敬する方などに接する時は、自分の息がかからないようにこのように手や袖で口元を押さえながら、お経や真言を唱えます。
ひとつひとつ、明かりが灯っていくバターランプ。
私は元気です。こうやってブータンの人たちに支えられて、たくさんのことを学んで感じています。
と、ご先祖様たちにも報告をしました。
バターランプを灯したあとは、本堂にも案内してもらいました。堂内は撮影ができないのですが、
このお寺は、高僧パジョによって建てられたこと。ブータンに仏教を伝えたとされるグル・リンポチェの後、高僧パジョはその仏教を広め確立されるためにチベットからブータンへやってきました。彼は自らの子供達を川へ落とし、その中から生き抜いた子を真の弟子とし、ブータン各地へ使者として送ったそうです。その高僧パジョの子であるニマと妃がこのお寺を守り抜いた、といわれています。
今回、初めて知るお話もたくさんあって、近くにあるからといって慣れてしまって見落としてはいけないなと気づくこともありました。
あとは、もうひとつ、バターランプに想いをのせたかったことがあります。
ウクライナでおきたマレーシア航空の撃墜のこと。民間機を狙うことはあってはならないことであり、絶対に許されないことです。ガサの侵攻も、長期間続いているシリアの内戦を想うと、ブータンでは外部から命の不安にさらされることなく毎日が暮らせるということのありがたさに感謝をしなければいけません。
命を落とされた方のご冥福をお祈りし、世界のどこの方にもよりよい一日が訪れるように願います。