森
2011年01月08日
ハ県の火災
黄砂のような色に谷が染まっています。いつもの谷の風景は、
こんな感じです。曇っている天気、というよりも、あきらかにいつもと違った風景。原因は、お隣のハ県における森林火災でした。ハ県のKATSHOエリア、比較的パロにも近い場所で火災が発生し、500ヘクタール以上が燃えました。
500ヘクタールというと、東京ディズニーランド+ディズニーシーの総面積×5倍の広さです。軍や林業関係者、村のボランティアを含む400人以上の人々が、火災とたたかいましたが、その数日間は強い風に煽られ、勢いが増すばかりで苦労したそうです。テレビで現場の映像を見ると、もくもくと煙が上がり、相当の勢いで燃えていました。ブータンでも冬は特に乾燥しているので、強風と乾燥で余計に燃え広がりやすい条件となってしまいます。
ブータンの一部の県では、日本から消防車が政府の援助などにより贈呈されています。しかし台数も少なく、谷は急峻な地形のため、消防士の活動は困難です。
ブータンにもユーカリの木があります。オーストラリアなどではユーカリの木は、落雷などが直接原因で自然発火し、火災後の降雨によって発芽作用が促されるため、自然発火も必要な要素だと考えられていますが、ブータンではほとんど聞いたことがありません。ユーカリの木も、たまに見かける程度です。
今回の発火の原因はまだ分かっていませんが、冬は気をつけないといけません。森林保護には特に力を入れているブータンです。自然発火以外の人による発火はできるだけ避けなければいけません。
この森林火災は、年始に雪が降ったため、沈静化に向かい、初雪に助けられました。自然が味方になってくれて、良かったです。
(写真はチェレ・ラの峠からのぞむ、チョモラリ山)
2010年12月29日
ブータンの大掃除
前方から、何やら大きな背中に大きな荷物を抱えた人達がやってきます。パロ谷では、松の木が多く、12月に入ってからというもの、毎日のようにはらはらと葉が落ちます。風が吹く度に落ち、最初はきれいだなぁと思っていましたが、尋常じゃない量に驚きました。
だって、お掃除が大変そうなんですもの。。。放っておくのも一つの手ですが、葉の上は思った以上に滑りやすく、危険です。
こんなに大きな袋を背負ったお母さんが通り過ぎて行きました。この葉を集めて、牛のベッドに使うそうです。小さな女の子もお手伝い。
それにしても、パロのエリアではシェバ村だけではありませんが、やっぱり、この谷の景色は綺麗だなぁとしみじみと思います。
またまた、お母さんと娘さんに出会いました。しかし、重そうです。ブータンの人達は、紐使いが上手だなぁと思います。紐だけでなく、帯の使い方も上手。民族衣装が織であり、帯を使う文化があるということもありますが、日々の生活の中でも上手に使っています。
特に何もお手伝いができないので、働き者のお母さんの背中を応援して見送りました。お父さんたちは、どこで働いているのかな??
この季節、ブータンでは毎日、松の葉の大掃除に追われています。
2010年11月07日
秋の悩み事
こんにちは。クズザンポラ―。本日も秋晴れのパロ谷です。遠くの山々は、うっすらと雪化粧をまとい始めました。
朝、五時半ごろに起きると、雲海ができることもあって、また違った雰囲気が味わえます。
日本に似ている部分がある、とよく感想を聞きますが、本当に似ています。特に、夏から秋、秋から冬に移りゆく数週間は、匂いや温度、風の感じ、全体の空気感が似ていると思います。
朝、まだ動きたくないニャン子。朝日でひなたぼっこしながら、明るく照らされるわんこ達。私の通勤路はいたって平和です。
以前、通勤路について、シュミレーションをご案内しましたが、今も毎日同じ道を歩いています。
しかし、いつもと違う場所がありました。事件です
誰かが鍬や犂で土を掘り返したような跡が残っていました。石段で積んだ階段も壊われてしまう勢いです。誰が何のために、道を荒らしたのか、ブータン人に聞いてみると、
「これはイノシシが来た跡だよ」
とのこと。彼らは鼻を使って土を掘りおこし、ジャガイモを探すそうです。その他、とうもろこしや穀物も大好物。そういえば、他にも周りに同じように掘りおこした跡があり、まっすぐに突き進み、草木を倒した痕跡がありました。秋になるとおこる、頭痛の種。
夜に鳴き声を聞いた友人も多数。本当に怖いそうです。まっすぐに何頭かグループになり突き進んで来るそうです。。近年は、野犬とイノシシの増加に農業省が対策に乗り出しているといった新聞記事もあります。また、猿や鹿の被害もあります。
パロは首都ティンプーほど急激には、街のエリアが拡大しているわけではありません。野犬やイノシシが増える理由は、彼らが住んでいたエリアに人間が住み始めたからだとは一言では言い切れません。また、インドからベンガルタイガーも国境を越えて、季節によって移動してきます。虎は3,000m以上の高所へも移動し、そして家畜が襲われる農家も絶えません。
野生動物との共生は、どこの国でも地域でも抱えている大きな問題ですが、虎が住めると言うことは、豊饒な植物があり、小動物から大型動物までバランスが取れ、理想的な植物と動物のピラミッドが形成されている証。
このバランスをどう保っていくか、自然保護には特に力を入れているブータンがどう展開していくか、とても興味深いです。
2010年10月18日
ゼタとコンタ・森の恵み
ナッツは大好きなので早速割って食べることにしましたが、日本ではすでに割り終えて、実の部分だけパッケージして売っているし、クルミを割る器具もあるので、なかなか硬いクルミをそのままもらっても上手に割れずに、悪戦苦闘。
しかし、ブータンの人達は、石と石を合わせていとも簡単にクルミを割って、民族衣装のキラとゴを着る際にほとんどの人が使っている安全ピンで中味を取り出し、上手に食べ始めます。
しかし、石で割るとやっぱりきれいには割れません。みんなで黙々と中味をほじほじしていると「僕もクルミを食べたい!」と言ってもう一人やって来ました。
突然、クルミを歯で割ろうとかじり、驚いているのは私だけで、そして『何だこれ、コンタじゃないじゃないか』と一言。
私はクルミを歯で割ろうとしていること自体が見当違いじゃないか、と思ったのですが、実はブータンのクルミには大きく2種類・ゼタとコンタがあります。ゼタは硬いクルミ、コンタは比較的柔らかい殻のクルミです。だから彼は、いきなり齧りだしたんですね。
上の写真の左側がゼタ、右側がコンタ。ゼタの方が表面上がごつごつしていて少し茶色が深く、コンタの方が表面が滑らかでベージュ色、手に持つと少し軽くカラカラと音がなり軽やかな感じがします。名前が兄弟みたいで、気に入っています。コンタの方は、本当にブータンの人達は、簡単に歯でかじって殻を割ります。私には無理でしたが、みんなは平気なようです。
歯で割れるコンタは1パッケージで200円位で買えます。硬いゼタに比べると1割くらい金額が高いです。多数決をとってみると味はゼタの方が良い、と言う意見が多いですが、私はほとんど同じ味だと感じました・・・。
こしあんとつぶあん、太い田舎蕎麦とそれよりも細い蕎麦、、、のようにそれぞれの好みによってどちらが好きかは分かれるのと同じですね。
ゼタとコンタは同じ森にあり、生育する場所には大きな違いが無いそうです。どちらもブータンの深い森が育んだ自然からの贈り物。機会があれば、味比べをしてみて下さい
犬用チューインガムで歯を鍛えているから硬いものだって平気~