祭
2017年10月16日
ハ・メーラーで文化交流
こんにちは。クズザンポラー。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます`。今回も前回の続きでハ県で行われたハ・メーラーのお祭りの様子をご紹介しています。
ツェチュ祭などの宗教行事としてのブータンのお祭りとは全く異なる、IMTRAT(The Indian Military Training Team)により毎年開催されているこの祭りは、ブータンにいながらもインドの行事に参加してるような気分になります。メーラーとはヒンディー語で「お祭り」を意味しますが、ヒンズー教のお祭りの要素はほとんど無く、イメージとしては学園祭のようなプログラム編成です。
まず最初にパラシュート降下で会場が盛り上がりましたが、その次は何が始まるのでしょうか。
最初はエアロビクスのような運動から始まって、その後は助走をつけて後方転回(バクテン)や側転、跳び箱を飛んだりと運動能力の高さを披露してくれました。そしてさらには、
(しかし、このプログラム終了後にこの種目を行ったインド人の軍人さんが腕に軟膏を塗っている姿を見てしまった・・・あれは火傷に違いない・・・ご苦労さまです)
何とも言えないのですが世代的に伝わるかわかりませんが、私としてはドリフ大爆笑を思い出して仕方がない。もちろん、みなさん本気でパフォーマンスしてくれているのですが、なんだろうやっぱりコスチュームと団体での動線がそれを思い出させるのでしょうか。
これ以外にもパンジャーブ地方のバングラ舞踊や、行進曲(マーチ)、護衛隊が列を成すフォーメーション、また写真のようなバグパイプの音楽隊などもあり、バラエティに富んでいて飽きることがありません。そしてこちらは、
インドの子供たちによるパフォーマンス。IMTRATに勤務をしている親を持つ子供たちは、親と一緒にインドからブータンで転勤生活を送っている家庭もあり、数年間をブータンで過ごすこともあります。インドの子供たちは将来ブータンで暮らした思い出が残るかな。唐辛子ばっかり食べていたんだよ、なんて思い出すのかしら。インドの子供たちだけでなく、親がブータン軍で働いているブータンの子供たちのパフォーマンスもありました。
お昼時になると、各地のインド料理が食べられるお店がオープンしたり、インド製品を売るお店が出たりと楽しめます。多くのインド人とブータン人がお互いに会話をし、プログラムや文化を楽しんでいる様子を見てこのハ・メーラーに来てよかったな、と思いました。ブータンにいてインドのメーラーを見る価値はどうなのか、と思っていたこともあったけど、来てよかった。
それはブータンの人とインド軍の関係で領土問題の事を書きましたが、こうやってお互いの文化や習慣を実際に触れ合う機会があることは、双方の未来にとって希望の光になることを感じました。
ブータンでもジムナスティックが普及する日が来たら見てみたいな~。
:僕はカレーもチーズも好きなんだよ
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2017年10月15日
ハ・メーラーで空を見上げる理由
こんにちは。クズザンポラー。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
10月13日から3日間にかけて、パロ県のお隣であるハにて、メーラーと呼ばれるお祭りが開催されました。毎年、10月のこの時期に開催されるお祭りでブータン国内で見るお祭りとはちょっと趣が違った雰囲気が楽しめるお祭りです。私は二日目の10月14日(土)に出かけてきました。
ハ(Haa)県は、2001年まで外国人の訪問を禁止していた場所です。ハは国内の最西部になり、インドのシッキム州や中国との国境と接しているため軍事的な問題があり、ハにはインドとブータンの連合軍の施設がありますが、インドの軍IMTRAT(The Indian Military Training Team)が主催するお祭りがハ・メーラーなのです。
会場は、ハ・ゾンに隣接するIMTRATのグラウンドで行われ、会場に入るとツェチュ祭などの宗教行事としての祭とはまったく異なる設営準備がされていますが、観客のブータン人としては「今年も何か面白いプログラムが見れるんだな」と楽しみにしている様子が伝わってきます。軍人さんたちが守備やパトロール、日々の訓練をする以外の姿は見かけることが無いものですしね。(ターバンをまいたシーク教徒の軍人さんとブータンの祈りの旗)
もし、みなさんがブータンの人に「ハ・メーラーでは何が面白いの?」と聞いたとしたら、ほぼ100%の確立でみんなが同じ回答をするほど最大に楽しみにしているメイン・プログラムがあります。
こちらのお母さんもずっと真剣なまなざしで見上げています。何があるのかしら?この日は朝は快晴で風も少なく、見上げた空は青空でした。
んん?確かに何か空を舞っている!?
会場のグラウンドには発煙筒?からでしょうか、煙がたかれはじめました。高まる興奮。
おやおや少年、それではお父さんが見えないんじゃないかな
なんだなんだ?そのうち、観客がざわざわ、こっちだよ~と手を振る人もいました。すると、
わ~、やってきました。軍人さんが6人、ヘリコプターからパラシュート降下をしてきたのでした。
ブータンの人々がハ・メーラーで一番楽しみにしていること、それはパラシュートが見られるということなんです。
私は最初、「パラシュートで降りてくるのを見るのってそんなに楽しいこと?それが一番楽しみなの?」と疑惑を持っていました。自分が体験するならまだしも見て楽しいものなのか、と。今まであまりハ・メーラーに期待をしていなかったのは、インドの軍人さんたちがするお祭りをブータンでみて楽しいのか?と疑問に思っていたからです。でもね、見てみたら楽しかった(笑)
それはブータンではパラシュート降下を見たことが今まで無かったし、谷と山に囲まれて風の影響も受けやすい地形で、三連につらなる山リスム・ギュムのすぐ側の小さなグラウンドに下りてくるのは簡単ではなく、苦戦しながらも調節して最終的にランディングする技術はすごいなと思います。
それに何より、初めて見るものを好奇心をもって眺めているブータン人の人々の様子が感じられるました。今ではテレビやインターネット、都市部には映画館もできて自分が経験する以外のことも映像を通して知ることができるようになりました。それでも、かつてはブータンの人々には娯楽がとても少なく、こうやって人がライブで何かをすることを見る機会は、とても貴重で楽しみなものなのです。
6人すべてが着陸すると、より盛大な拍手に包まれました ああ、そうだ、これって日本では航空ショーとしてブルーインパルスが行事でアクロバットな展示飛行を見に行くのに似ているな。ブータンでは機体ではなくパラシュートだけど
お祭りの様子は次回に続きます。
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2017年10月01日
ティンプー・ツェチュ祭~2017年~
こんにちは。クズザンポラー。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今年は、昨日の9月30日がヒンドゥー教のダサイン祭で、ネパールを中心にインドの東北各州やブータンでも祝うのですが、私もこの日のための特別な料理をいただきました。以前、ネパールに行った時にこのお祭りの準備で驚いたこともありました(ダサイン祭の準備~ネパールとブータン~)。
そして、同日にティンプー・ツェチュ祭も始り、9月30日から3日間に渡って開催されています。ブータンで開催される多くの祭の中でも、春に開催されるパロ・ツェチュ祭に次いで観客数が多いお祭りです。本日、お祭り2日目に出かけてきました。
昨日は、終日雨で大変そうでしたが、本日は曇りで陽射しが強すぎることもなく、例年よりは快適に見ることができたような気がします。
(男性と女性グループによる踊り)
たまに雲間から、陽射しがさんさんと注がれると、一か所にずっと座っているとやはり暑いですね。
ブータンの人達の正装に欠かせないスカーフ(カムニやラチュ)を頭にのせたい気持ちも良くわかります。お祭りのときはみんなより一層お洒落をしてくるので、色鮮やかな衣装に目が留まります。
美しいキラを身にまとった美女の後姿。今は髪の毛を降ろして、ふんわり巻くのが流行っているのかしら。
小さな子が民族衣装を着ている姿は本当にかわいい~。お祭りの帰り際には、ほぼ脱げそうになっている子もたまに見かけます(笑)
今年は観客席にジュースが無料で配られるというサービスがありました。お祭りのプログラムはいろいろあるけれど、合間合間に登場する道化師・アツァラの寸劇は、何度見ても飽きないわ~
この日のメインのプログラムは、12時30分ころにはじまったラクシャ・マンチャム。死後、誰しもが会わなければいけないとされる閻魔大王から裁きを受ける仮面劇です。
(僧によって踊られる)
(素晴らしい躍動感)
(踊り手が増えていく)
そんな時、ふと目線を前に向けると、馴染みのお顔がありました。
この写真に写っているのですが・・・ オレンジ色のスカーフ(カムニ)を身に着けるポジションの方と言えば、、、
ツェリン・トプゲ首相です。
私の座っていたすぐ隣の席、一般観客席の特にブータンの人々が多く集まっているゾーンに自ら腰を下ろし、子どもたちやその両親、おじいさん、おばあさんたちに声をかけている姿が印象的でした。最初に歩いていらしたとき、気が付いたブータンの人々は起立をして頭を下げようとしましたが、座って座って、と手を動かしていらっしゃいました。
その後、おばあさんが杖を突きながらお孫さんと歩いてきましたが、みんなが手を差し伸べたり、スペースをさっと作ってあげたり、そういったさりげなく優しい気遣いができることは素晴らしいですよね。私を含め、ツェチュ祭を目的に訪れる外国人は多く、観光事業を盛り上げる一環でもありますが、ブータンのお祭りは宗教行事でもあるので、第一にはブータンの人達のためにあるものであって欲しいなと願うのですが、こういった姿を見ると安心します。
外国人も、ブータン人も、首相も、そして王様も同じ場所に座ることが、普通にある国。それはパフォーマンスとしてではなく、本当に人々の声を聞きたいんだ、という気持を感じます。
閻魔大王はまだ登場していなかったのですが、なんだか満足して帰ってきてしまいました。あれ、パロ・ツェチュの時と気合の入れ方が違う??? やはり自分が暮らしている土地が好きなんだろうな~
お祭りのことが気になる方は、「祭」のタグを見ていただくか、ティンプー・ツェチュ祭に関しての過去記事もありますので、こちらをご覧くださいね。
ギンに頭を叩いてもらうと、、
ティンプー・ツェチュ祭~後編~2010~
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2017年04月12日
2017年のパロ・ツェチュ祭
こんにちは。クズザンポラー。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今日は、昨日に最終日を迎えたパロ・ツェチュ祭りの様子が、ブータンの友人から届いたので、そのおまけの写真をお届けします
祭最終日の5日目、この日は早朝の大タンカ(トンドル)の御開帳のほか、お昼前に行われるプログラムであるグル・リンポチェの八変化『グルツェンゲー』もご利益のある仮面舞踊です。
これは↑躍動感のある踊り、ギン・タン・ツォリンかな?
ギンと呼ばれる恐い顔をした仮面をかぶり、頭には旗を掲げ、虎皮のパンツを身に纏った勇者に、手に持った太鼓のばちで頭をたたいてもらうと、体の中にある悪いものが浄化されるといわれています。太鼓のバチは智慧の象徴でもあるそうです。
過去にこんな写真をご紹介したのですが↓ ギンの姿は、
こんな感じで、
老若男女問わず、みんなギンに頭を叩いてもらいたくて、頭を下げています。私はこの姿を見ると、日本のお正月に獅子舞に噛んでもらう様子を思い出します。
ギン同志も並んでいると、
ポカスカ ポカスカ
しているようで、なんだか可愛らしいんです。恐い顔の仮面ですが、こわくない。子供のころに見たら、トラ柄のパンツだし、きっと泣いていたかもしれませんが、大人になってからこのシーンに出会うと、本当に勇者に勇気をもらえるような気持になります。
ちなみに、叩くとってもポンっと頭の上に置かれる感じで、痛くはないですよ~~
→詳しい過去記事はこちら
続いては、早朝の大タンカ(トンドル)の御開帳の写真。
早朝4時前から静かに厳かに掲げられます。ブータンでは、建物の屋根裏から下から上に向かって引っ張り上げます。
朝7時ころになると夜が明け、明るくなり始めますね。よ~く2つの」こう言っては怒られてしまいますが、イヤリングのようにグル・リンポチェの耳元に布が掲げられています。
祭りといえば、着道楽ブータン人の一年に一度の大舞台。
みんなここぞとばかりお洒落をする姿、見ていて晴れやかな気持ちになります。
ヒマラヤの青空に仮面舞踊も映えますね。
パロ・ツェチュ祭が終わると、パロ谷に春がやってきます。農家にとっては準備が忙しくなり、豊作とみんなの健康・平安を祈り、田んぼへと出かけていきます。
日本も桜が咲き、春らんまん、ブータンでも日本でも生命力あふれる美しい季節ですね
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2017年04月11日
ご無沙汰しております。
こんにちは。クズザンポラー。
みなさん、お元気でいらっしゃいますか。いかがお過ごしでしょうか。
あまりにも更新が滞っていたので、まず、何からお話していけばいいのかわかりませんが、最初に・・・
長い間、更新ができずにいたのですが、私のことを心配してくださったり、更新がなくてもここを訪れてくれたり、メッセージをくださったみなさま、本当にありがとうございます。私は元気で無事に過ごしています。
どんな形でお礼を伝えればいいのかわからないのですが、心から感謝しています。
楽しみにしていてくださった方がいること、応援してくれる方がいることに勇気づけられ、更新ができなかったことにはお詫びの気持ちもいっぱいなのですが、世の中にはたくさんの情報があるなか、このブログもその中の一つにしか過ぎないのですが、見てくださる方がいることはとてもうれしいです。
更新が滞りながらも、どんな記事を書こうかな、と思うことも度々ありながら、今日まで経てしまったのですが、このブータンダイアリーを訪れる方に「どうしても見てほしいな」と思ったことがあります。
本日は、2017年のパロ・ツェチュ祭の最終日でした。実は、私は現時点では転勤をして、ブータンでは暮らしていないのですが、それでも毎年欠かさず訪れていたパロ・ツェチュ祭りの様子を、ブータンの友人達が伝えてくれたのです。
このお祭りのことは、数々書いてきましたが、何度でもお伝えしたいことであり、ブータンの人々の精神に触れることができる瞬間があります。毎年、5日間に渡って開催されるお祭りですが、祭の最終日の夜明けに流れる静謐さは何とも清らかで、静かであるけれど人々の篤い気持ちに触れることができます。
トンドルとは、「見るだけで解脱ができる」という意味がある、尊いもの。
どんな爵位をもっていようが、どんな職業であろうが、お金持ちであろうが、老若男女問わず、字が読めなくても、経典の内容を知らなくても、このトンドルを見ることで解脱ができるとされます。「解脱」と言ってしまうと難しいですが、私自身は「我が身を振り返り、過ちを悔い改め、それを一度心に刻んだのであれば、日々、善き行いを精進せよ」のように捉えています。この瞬間を境に、身を清め、生まれ変わるような感覚です。
人々は同じ世界に生きていることを改めて実感するのです。
(トンドルが御開帳され、夜明けと共に読経が始まる)
以前にも書いているので繰り返しになってしまいますが、私には忘れられないことがあります。
私は今までにトンドルを何度も見たことがありましたが、最も大きなインパクトを残したのは2011年3月19日にこのトンドルを見た時でした。東日本大震災の発生後、1週間も経っていなく、当時の私は直接的には被災をしなかったものの、多くの方の辛さや、やるせなさを想像するだけで、私自身がどう受け止めていいのかわからなくなりました。
その時に、このトンドルだけは今のあなたが見なければいけないよ、と連れて来てくれたのがブータン人でした。このトンドルを目にして、正面に対峙をした時、満月の光がひとすじ心に射したように感じました。
そして、今年の4月。
福島の私の育った町やその周辺の町の一部に、今までより広範囲にわたり避難指示区域が解除されました。
(この時期はパロでもシャクナゲも咲き始める)
一人ひとりの状況や環境が異なるため、受け止め方は十人十色であり、それが当然ですが、どんな状況にあっても今、私たちはこの世界で生きているということ。
昨年は、熊本でも大地震があったり、自然災害が各地域で発生したり、世界的にも情勢が不安定であったり難民が増えたり、毎日の生活の中でつらい気持ちでいる人々もたくさんいます。
私は、このトンドルが御開帳される日は、毎年願うのです。この空間と自己の枠を超えて人々の平安を願うブータンの人々の祈りが、ヒマラヤから世界に向けて届いて欲しい。
今まで、このブログをどんな形で続けていくのかを考えていて、筆が渋っていた私ですが、今日はこのトンドルのことをみなさんに伝えたい、ご利益よ?届け~と思い、書くことができました。
本日は、読んでくださって、ありがとうございます
パロ・ツェチュ祭のカテゴリーはこちら
:僕も元気ですよ~。実は、若いぴちぴちワンコと一緒に暮らし始めました??
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